札幌南三条病院:TOPICS
●番組名:朝ビタTV(HBC)
●放送日:2004年9月16日
●インタビュー対応
・藤田 昭久:副院長/呼吸器科
・加地 苗人:呼吸器外科部長
・塚本 江利子先生:元当院放射線科部長
●放送内容を一部抜粋して掲載しています。
■アナウンサー:
日本人の死亡原因のトップ、がん。その中で今増えつづけているのが、肺癌です。癌の中でも治療が難しいと言われる肺癌ですが、早めに発見すれば体への負担の少ない手術で治癒も可能な病気になってきているんですね。最新の診断方法など北海道肺癌治療の最前線をお伝えします
。
■アナウンサー:
健康の話題、肺癌の話題なのですが、今の肺癌というのは日本で男女合せて年間5万人以上の方が癌でなくなっています。しかもそれが増え続けていて、すごく身近な癌になってきているという事なんですよ。ただ早めに発見すれば、体に負担が少ない治療法や手術法があるということなんですよね。そこで、最新の肺癌治療、そして肺癌を予防する検査法などについて調べてみました。
肺癌は年間6万人以上が発症していて、死亡率は男性では1993年に胃癌を抜いてトップ、女性は胃癌に続いて第2位なんですが男女ともに年々死亡率が増えているんです。2015年には年間15万人もの患者の発生が予測されているんです。
■藤田医師:
「一番の原因は喫煙ですね。特に肺癌の原因としてはっきりとした相関がわかっているのは喫煙だけなんですね。依然として喫煙の率は下がってはいませんし、たばこを吸ったからすぐに癌になる訳ではないですから、長年吸っている影響が今になってだんだん出てきている。で、それが年齢的にもなりやすい年齢に、たばこを吸い始めてからなってきているので非常に増えてきている。目立ってきているんだというふうに考えています。」
■アナウンサー:
特に毎日たばこを吸う人は、吸わない人に比べておよそ4.5倍も肺癌へのリスクが高くなり、20歳以下でタバコを吸い始めるとリスクは6倍近くになるというデータもあるそうですよ。
さて、こちらは札幌市中央区にある札幌南三条病院。呼吸器・循環器疾患の専門病院、札幌南一条病院から肺癌治療のスタッフが移って、2004年の春に肺癌治療メインの施設としてスタートした病院です。スタッフの肺癌治療の症例数は手術数で年間100例を超えていて、道内でも随一の実績を誇っています。この病院で、肺癌に対して多く取り入れるようになってきた手術法として、「胸腔鏡手術」というものがあるんですよね。これは、従来の手術法とどう違うんでしょうか。
■加地医師:
「従来の開胸手術というのは、ちょうど胸の部分の背中から胸の前側にかけて大きな傷をつけて、あばら骨がそれにまた邪魔をしますので、あばら骨を1本ないし2本切除する事で大きな視野を得て、そこに実際手を入れて手術を行うということです。
胸腔鏡手術というのは、カメラの視野を頼りにして、それに準じた器具を使っておこなう手術のことで、それによって傷を小さくすることが可能です。従来の開胸手術だと、やはり胸の手術の後の患者さんの胸の痛みというのが大きな問題となっており、悩みの種だったんですね。傷を小さくする、あるいはあばら骨を切除すること、回避するという事で、患者さんの疼痛が少なくなる。そういうことで、手術の後の回復が早くなる、そういうメリットがあると思います。」
■アナウンサー:
手術後の入院期間も一週間程度で済むそうです。ただこの胸腔鏡手術が可能なのは癌が他の臓器やリンパ節に転移していない段階、つまり早期の場合に限られているんですね。その手術が可能かどうか、また癌の大きさや転移の範囲がどこまであるかなどを診断するために役立っているのが、この病院にある最新型の画像診断機器です。こちらは体の断層面を撮影するおなじみのCT。ただし、その中でも最新鋭のマルチスライスCTと呼ばれるものです
■塚本先生:
「こちらのCTは一度に16スライスのCTを撮ることができますので、従来よりも綺麗な、そして精密な検査をする事ができます。」
■アナウンサー:
撮影にかかる時間も短くなって、胸だけだとおよそ8秒、全身でもおよそ24秒で済むという事なんですよ。そして、中でも最も注目されるのがこちらPETと呼ばれる最新鋭の診断装置なんです。
■塚本先生:
「従来の検査では形だけで診断することが多かったのですが、PETは放射線を出す微量の物質を体に入れて、それが癌などの病症に集まることによって診断できる。特に癌の診断に非常に良いと注目されている診断手段です。肺癌は普通CTなどの検査で見つかることが多いのですが、専門医でもそれが悪性なのか良性なのか良く分からないことがありますが、PETでは良性なのか悪性なのか、その可能性が高いのかどうかということを診断することができます。全身を一度に撮ることができますので、肺癌のように転移しやすい癌では、転移を手術前に知ることができるという点で大変有利だと思います。」
■アナウンサー:
このPETは検査前に注射をするだけで、検査中はほとんど苦痛はありません。一昨年から一部の癌の確定診断の場合などに限って保険も適用されることになったのです。
さて、この病院での肺癌治療チームは、薬剤による治療の成績でもトップクラスであるのです。手術が適用できない進行した肺癌に対する化学療法の結果、1年生存率が63.2%、2年生存率30.5%で、全国的にも引けをとらないそうです。
■藤田医師:
「ここ10年くらいの間にいろんな新しい薬剤が出てきて、(中略)患者さん自身が実感として少し良くなっているな、ひょっとしたらこれはもうちょっと良くなる、もう少し長生きできるかもしれない、ひょっとしたら、もっともっと思っていた以上に良い結果が出るかもしれないっていう風に、期待をしてもらえるくらいの効果は出始めているんですね。」
■アナウンサー:
ところで、ごく初期の段階で発見された肺癌は、適切に治療を行うと80%近く治癒することが可能なんですけど、長く続く咳や、血痰などの自覚症状がでてから発見された肺癌、進行していることが多くて治療も難しくなるんです。そうならないためには、やはり早めの健診が必要という事になります。
■藤田医師:
「特にたばこを吸っている方、ご自身が早い時期に癌になるんじゃないかと不安を抱いている方、それからこれもはっきりしている訳ではないですけれども、家系に非常にがんの患者さんが多い、自分もそうかなという心配を抱えている人は、もう少し一般の検査より精度の良いCTなり、あるいはPETなりの検診を、毎年きちんと受けておく必要があるというふうに思います。(中略)一般的には50歳くらいからで、特に癌のことが心配で心配でという方はもう少し早い年齢で受けることもそれは間違いではないというふうに思います。それから症状が疑われたら、きちんと診断を受ける手段をこうじてもらうということが必要だと思います。」
■アナウンサー:
今まで胃癌の方が、どっちかっていうと意識の中ではあったんですよ。肺癌というのは縁遠いと思っていましたけれども、今は増加率が高い、死亡率も高い。本当に人事ではない、というかちゃんと意識しておかないと駄目ですよね。ただ意識すると言っても、一年に一回の健康診断だけでよいのかなっていうとそうでもない。もっと精度の良いもので調べないとわからないものも一杯ある訳ですよね。
今出てきたCTとかPETという検査方法がだんだんと普及しつつあるので、こういう検査を、たばこを吸っている方とか、あるいは遺伝的にそういう心配があるような方は、50歳くらいからはという先生の話なんですよね。
リスクの話もありましたもんね。喫煙されてる方は4.5〜6倍高い。50歳という数字は目安ですからね。もし本当に心配だったら、この検診をちょっと受けていただきたい。
ちなみに肺がんドックだと23,100円(
※
)、PETだと64,000円。2つ合せたとしても87000円ぐらいという事ですので、心配だぁという方はこういう検査を受けて安心するという方法もあります。
※:2006年8月1日より、21,000円に料金変更
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